恋人はいたけど、他に本気で好きな人ができてしまった!

東北地方の大学に通う20歳のことだった。
当時、バレーボール部に所属しており、1年生の頃から彼女のいる男子バレー部の先輩をずっと好きで何回も告白しては断られ、それでもあきらめきれない状況が1年ほど続いていた。

 

秋が深まる頃、またクリスマスを1人で過ごすことが嫌で、友人に男友達を紹介してもらった。
そこで知り合ったのが、Mくん。何回か友人を含めたダブルデートを重ね、自然と付き合うようになった。特に好きだなあと思ったわけではなかった。とても優しいし、面白いし、付き合っていくうちに好きになることもあるだろうと友人にもアドバイスされ、まずは友達から、と無理ない交際をお願いした。学部が違うためなかなか会えなかったが、映画を見たり、夕飯を食べたり、ときめきはないけど和やかな時間を過ごすことができた。

 

そんなある日、バレー部のコーチをしている大学院生のS先輩が、暇ならドライブに行こうと誘ってきた。S先輩は入部当初から仲良しで、兄のように慕っており、特に異性として意識したことはなかった。その時もいつかの練習時に「車を持ってるなら、暇なときにどこか連れて行ってくださいよー」と冗談のように言ったことを覚えていて誘ってくれたのだろう。

 

昼過ぎに待ち合わせ、山道をドライブし、イタリアンを食べて帰ってきた。こんなに楽しいなんて、と思うほど楽しく、またドライブに行こうと約束して別れた。まだこの時も、男としては見ていなかった。

 

次のドライブは1週間後。朝早起きして、高速に乗り、日本海まで出かけた。日帰り温泉に入り、車内では当時流行っていたELTに合わせてのりのりで合唱。またまた楽しくて、彼氏と一緒の時より自然体でいることができて…ふっと嗅いだ先輩の匂いにドキッとした。
「先輩の匂いってなんだか私好きだな」「俺も、お前の匂い好きだ」そんな会話から毎日のように会うようになっていった。

 

部活帰りに待ち合わせて夕飯を食べたり、温泉や海へドライブしたり、飲みに行ったり。一緒にいることが自然で、落ち着いていられて、でも会うたびに毎回ときめきを感じて。本気で好きになっていたのだ。しかし、彼氏には言えないままだった。

 

ある晩、一人でいるとき彼氏から電話がかかってきた。最近の私のそっけなさに不安を感じていたのだという。ずっと別れられなかったのは、自分から別れを告げることは自分が悪者のようで嫌だったから。先輩と一緒の時に、彼氏に後ろめたいなんてもう感じていなかったくせに。正直に他に好きな人ができたことを伝えた。

 

彼氏は、ひどいを連発し、電話先で泣いていた。自分勝手で申し訳ない気持ちが沸いたが、「本気で好きになったのだから仕方ないじゃない」と私も泣いて別れた。

 

先輩とその後も付き合う仲が続いたが、すぐに喧嘩してダメになって、またくっついてを2年以上繰り返した。先輩の就職と引っ越しを機に完全に連絡が途絶えた。

 

その彼氏と泣いて別れて3年後、大学院1年生の秋に就職活動を開始した。某製薬会社の面接に行くと、待合室にはなんと元彼氏の姿が!やばい、と動揺する私に彼は、「次の面接ですか?」と全く覚えていない様子。自分も彼に会うまで一連のことは忘れていたが、彼も私のことは忘れて元気でやっていたのだな、と思うとホッとした。